泣きゃぁ良いと思いやがって!
小さい頃、私はすごい泣き虫だった。
その頃の私は、超能天気のくせに、神経は細くて軟弱なので、
っていうか、周りには怖い物だらけで、辛くて悲しくて泣いていた。
のもあったが、自分の中のプロデューサーがいて、
『さぁ、今だ!泣くんだ!おいしいのだ!』とQを出すのだ。
妹や弟のいるお兄さん、お姉さんや、いじめっ子の皆さんは
『そうそう、大人の前でわざと泣くの。そういう、ずるいやついるんだよなぁ!』
って、ご記憶にもございましょう。
が、今、冷静に考えてみれば、それは自然の流れであって、
だいたい、子供っていうのは、自分の力を試してみたくなるので
動物的な本能で自分より弱いやつに向かって試すのだが、
いきなり、試し切りされた方は堪ったもんじゃないが、
勝てないのもわかっているので、やはり動物的な本能で、泣いて助けを呼ぶ。
赤ちゃんっていうのは、何かして欲しいことがあると泣くんだけど、そん時の名残なのかな。
でも、意思表示も何もできない頃の彼らにはそれが、生存に関わることだから必死なんだろうけど。
で、仕掛けたほうは怒られるのだけど、それは、やった相手じゃないので納得できない。
まぁ、そんなこんなをお互い繰り返し学習するもんだから、
そのうち、自分が悪くとも、なんでも泣きを利用するので
私みたいなやつは『泣きゃぁ良いと思いやがって』とか『すぐ泣く』とか言われまくる。
今思えば、一番最初はというと、お前が最初にちょっかい出すからぢゃ!って思うんだけど、
素直な私は、悔しかったり、悲しくてぽろぽろ泣いちゃうこともあるかもしんないが、
あるいは、自分をキラキラさせる為に泣く事も覚えるが、
弱音を吐いたり、同情を引くとか、かっちょ悪い事に涙を使うのはプライドが許さなくなる。
が、この年になってみて思うのは、
そんな事いわれずに育ってきた人間が、使ってみようかと思うのか
元はといえば自分が悪いんじゃんと思うのに、
ちょっと、どういうことよっていうと
うわ〜〜〜んと、周りの同情を集めやがる。
周りも良くわかんないで『かわいそうじゃない』とか、そこだけ見て判断して
事実がわかっても『だって知らなかったんだもん。それに同情しただけでとばっちり』
と無責任な事をいうのもいるから、泣いたもん勝ちになったりする。
今考えたら、子供って、そんな大人の習性を察知して利用してたんだな。
しかも、ふっかけた方もそれを利用されるのがわかってるから
『泣きゃあ良いと思って』とか、『すぐ泣く』とか責め立てて、
プレッシャーをかけるっていう心理戦を展開してたのだな。
まぁ、それもそうだろう。子供の頃なら、それが理不尽な理由でも罰せられたときには
悪けりゃ、ご飯を抜かれたり、お尻をたたかれて痛い目にあったりと、
生活がかかってたんだからな。
けど、それは子供の話。
良い大人が、自分がやったことの後始末ができなくて、
不都合があれば、びーびー騒ぐっていうのは
赤ちゃんが、自分のお尻をふけないから、おもらししたときに、
泣いて親を呼んでオムツを替えてもらうのと一緒。
そう思うと、事情もわかんないで加勢するっていうのは、
『そんな、かわいそうじゃない、オムツ替えてあげれば良いじゃん』
と、自分で拭けるお尻を、他人に拭いてやれと言っているのと変わんない。
それをわかったうえで、『お兄ちゃんなんだから!』とか叱られる理由があれば仕方ないけど、
『小さい子だからかわいそうでしょう』と、弱く見える方をかばってあげなきゃ
なんてわけわかんないのやられてたら、なんて残酷な話ざんしょ。
そんなことしてると
『小さい子は何をしても、かわいそうだから、怒っちゃいけないんだからね。許されるんだからね』
と平気でのたまうガキ育つんだよ。
で、間違って年だけとっちゃうと、大人になってまで同じことしてやがる。
ったく、いい大人が、泣きゃぁ良いと思うんじゃないよ。まったく。
それで、自分のことをおとなしくて、優しくて、繊細な人間だと思ってたら、ちゃんちゃらおかしいわ。