あやちゃたまちゃん
ぱらだいす計画2

 

 

 

                                                  

 

 

私はめちゃくちゃ寝起きが良い。特にビールを呑んで寝たときは、すっきりと起きる。

なんてこと!火災発生!

「ホテルで火災が発生しました。非常階段から速やかに避難してください。エレベーターは利用しないで下さい」

「!?」館内放送は、確かにそう言っている。ベルこそならないが、英語やタイ語やいろんな言葉で繰り返しアナウンスが流れる。
とりあえず、一度廊下の様子を見に行くのだが、誰も逃げている様子がない。
ふと、自分がはだけた浴衣を着ていることに気がつき、ハンガーにひっかけてあったノースリーブのタンクトップに10秒で着替える。
その頃、目が覚めたらしいたまちゃんは、「いい加減にして!」と電話に続くいたずらだと思い怒っているが、やがて本当の火事と気がつき、私が着替え終わったのをみて、自分も着替えるという。

「あ〜、本当にこんな事って起こるんだなぁ」と、スーツケースを見てしみじみ思った。

ベルトについたお財布は握り締めたが、せっかく撮った写真や、買ったお土産は置いていかなくちゃいけないんだなぁ。
ジムトンプソンが届いていないのが救いかぁ。 でも、こんな事って本当にあるんだね〜。

しかし、周りが慌てている様子を感じないので、荷物を持って逃げる事が危険で他のお客さんの迷惑になるんだったら、そのとき捨てれば良いやと カメラの入っているバックと貴重品BOXに入っていたものを全て取り出す。
その頃に たまちゃんの着替えも終了。 「たまちゃん、逃げるよ!」「はいよ!」と2人で部屋を出る。

廊下に出るとみんながそんなに慌てた様子もなく非常階段に向かって降りてゆくので着いてゆく。11階からくるくると外に出る。
日本のドラマだとこういうときは、ホテルのスタッフが「こちらです!逃げてください」って良いそうなものなのだが、そういう誘導はない。
ただひたすら、階段を下りていくだけ。

でも、電気がついていたり、煙を見ていないせいか、寝起きだからかのんきなもの。
何処で火事が起こってるかはわからないのだから、もう少し身の危険を感じても良さそうなのに。

大変な事が怒っていると云うのは重々承知であるが、人間ってこういうときに脳がバランスをとろうとするのか、意外と冷静である。
それにしても、こんな大きなホテルでの火事だから、日本にもニュースが流れるだろうな。親は心配するだろうな。
ああ〜、どうしたものかねぇ〜なんて考えてる。
地上に近い階では裏場のスタッフなども合流して避難。ああ、本当なのねぇ〜。さようなら、スーツケース。
(それにしても、何処で火事が起きたのだろう。)

地上に着いたら真っ暗で、スタッフが誘導している。それでも、もう安心してよいのだろう。
言われるまま歩いていると、突然電気がついた。
(ってことは、火事が治まったのか?なんにしても、良いほうにいったのだろう)
そう考えながら、なおも誘導に流されていくと、何故かロビーの方へ。
(あれ?火事は別棟か何かだったのかな?)

ロビーでは多くの西洋人宿泊客が、同じように客と思われる1人の白人男性を囲んでいて、その男性は何かを言っている。
「こういうときにこそ、我々は聖書にある、神の言葉を思い出しましょう。
イエスはこう教えを説きました…我…うんたらかんたら」
私は客の中に牧師がいて、説教を解いているんだなぁと勝手に納得した。
が、その人が本当は何を言っていたのかが、その後ホテルの人が最初に集まった人に軽く説明している事でわかった。

「セキュリティーシステムの誤作動です。みなさん、エレベーターで部屋に戻って、安心してお休み下さい」
はぁ〜?誤作動?
火事でなくてよかったと思ったが、我に返って気がつけば、部屋の鍵がない!荷物は取り出したが…トホホホホ。

それにしてもこういうことが起きた割にはホテルは淡々としていた。
外国人も起こされたと文句を云う人をみかけなかっただか、もし言っていても聞き取れなかっただけかもしれないが。
まぁ、私たちは、寝た頃に変な電話で起こされ、 火事で起こされだから、「眠れない!」って言うたまちゃんの怒りはごもっともだが、他の日本人も「こんなの日本で起きたら大問題だよ」と言っているのに、なんか、みんなサラ〜〜〜とした様子。
まぁ、他の国の客の中には私みたいに「折角なので写真を撮っておこう」という人はいたけど。

しかし、これはかなりのトラウマだったらしく、この後は寝てもウトウト。で、折角寝たと思ったら火事の夢を見るんだよね。
あっちでも火柱、こっちでも火柱って。それ以来、夜がちょっぴり怖くなりました。

 
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