あやちゃたまちゃん
ぱらだいす計画2

 

 

 

                                                  

 

 

名古屋に到着

名古屋に着いたのは、定刻の21時より若干早め。時間的にはそんなに長い方ではないのだが、狭めのシートでのフライトで、いつもならまだ着きたくないと思っているんだけど、今回は正直ヤレヤレって感じ。
っていうか、親が迎えに来てくれてるので、できるだけ早く着きたかったんだよね。

でも、私たち東南アジア方面から来た人は、体調や飛行機のシートなどを記入する紙をを提出しなくちゃいけないから、これで時間を喰うんだろうなと思ったら、これも前回よりずっとスムーズに流れる。入国審査も無事通り、スーツケースも手荷物が出てくる場所に向かうエスカレーター上から、自分のスーツケースを流れていくのを発見(ショッキングピンクなので遠くからもわかる)。走ってターンテーブルに向かい、「すみませんね」とその辺で待っている人を蹴散らかし、早々にGET。
後は、今までブルネイ以外では一度もひっかかった事がない、手荷物審査のみで楽勝!とにかく余裕で目の前の列に並んだ。
なんにしても、これで旅行は終わりさ〜〜

ところが、おばんが来たりて…

さて、次は私の番である。前の人が終わったのでウェイティングラインからそろそろ進もうかと思ったとき、ひとりのおばさんが目の前を横切り、ツツツツツと検査員の前に。
(何?なんなの?横入り?)
この瞬間から、運命の輪は狂い始めたのかもしれない。

(なんか聞きたいことがあるって?ちょっと、あんたはほんのちょっと尋ねたいだけのつもりだろうけど、それは立派な横入り。こっちも忙しいの、ほら、検査官もいってるじゃん、早くどいてよ。ちょっと、こっちも急いでいるのよ。検査官、あんたもちゃんと説明して並んでもらいなって、うわ〜、鬱陶しい)

「すいません、私も急いでいるので、聞くにしても、列の後ろに並んでいただけませんか?」
おばさん、ようやく退く。しかし、今なら思う。私が退けば良かったと。

疑惑の女

検察官はいろいろな質問をしてくる。はっきり言ってくたびれてるし、早く終わって欲しいので、協力的に薦めようと思う。
その中の、何がいけなかったのかはわからない。住所が横須賀なのに名古屋空港を利用している事なのか?
「バックを見せてください」の言葉にも素直に応じる。

ところが、この女、荷物の中身をどんどんテーブルに出しまくり、散らかしてゆく。(急いでいるのに何してくれるのよ!)
そして、袋の底にあったオリエンタルホテルのクッキー缶も全部取り出し、これを調べさせてくださいと言いやがった。

まさか、中を開けるって言うの?ご親戚の皆様へのお土産用なのに?

「すみません、お土産用のクッキーなのですが、一応領収書や明細もありますが」と言っても、「X線にかけるだけなので、時間を取らせません」といい、強引にX線担当者に渡す。
その姿は、本人にすれば疑惑の女に対する毅然とした態度かもしれないが、無実のこうさぎにとっては、高慢な嫌な態度である。

(まったく、何で私みたいな、天真爛漫で犯罪とは無縁の無垢な女を疑うかなぁ。わかんないわ〜〜〜〜。
ああ、でも、いかにもって言う人間じゃなく、捕まったときに「そんな風には決して見えない」っていう方が、プロの運び屋には多いのかもしれない。ああ、疑われたのはこの純真さの為なのね〜〜〜)

でもムカツク。まぁ、相手も仕事なんだろうけど。それでもX線にかければ終わるのだろう。そう思っていた。

謎のシルエット

すぐに終わると思っていたX線検査はなかなか終わらない。検査官2人がかりで何か話し合っている。そして、そのうち上司と思われる方がやってきてこう言った。
「中身を特定できないので、こちらで一緒に見てもらえますかね?」
(え?何?普通のクッキーなんじゃないの?それとも知らない間に何か変なものを入れられていたっていうの?一体何が?)

「この中身はなんですか?」検査官が言う。見てわからんかぁと思いながら「オリエンタルホテルのクッキーですが。領収書もあります」と答える。
「X線でみるとこの缶だけがシルエットが違うんですよね〜」
検査官が、警察署ならもう少しでカツ丼を出してくれそうなときのような口調で言う。
(え?そんなに怪しまれるものの何が写っているの?)そう思いながら、モニターをのぞく。
「他の缶は中身の厚さがだいたい同じなのに、この缶だけは他のより厚いんですよね〜」
確かに、1枚1枚の厚みが他のより厚いには厚いけど…
「はぁ〜。いくつもの違う種類のクッキーを買ってきましたからね」
私にはただそれだけのもので、それ以外には何も思わないのだが、検察官は納得しなかったらしい。
「開けてもいいですかね〜?」

何でこんなにしつこいのかは知らないが、開けてもいいですかねぇ〜は了解を取っているわけではなく、実質的には開けますよって言う宣言。
私がお土産用なので開けれると渡せなくなると伝えようが、何しようが、開ける気満々なのだ。
こうなったら、仕方がない。早く開けて、早く開放してくれって云うところである。
「嫌ですけどどうぞ」と伝えると、その場で開けると思ったのだが、「では別室に来てください」と移動させられる事に。
いや、移動というより連行だな。
連行されるときの「いやぁね〜、あの子、なんかヤバイもの運んで捕まったんじゃない?本当にそんな人間がいるのね。ヒソヒソ」って感じの周囲の視線は痛いぞ〜。

たまたまそのとき、待っててくれたたまちゃんの前を通る事ができたので、「荷物が怪しいので調べるらしく、別室に連れて行かれるので時間がかかるかもと親に伝えてくれないかな?」ということが出来たから良かったけど。
たまちゃんは、バスで家に帰るつもりだったので、親にあわせて、一緒に車で送ってもらおうと思っていたので、たまちゃんと親が会えば、親から送るって云う言葉を云ってもらえるだろう。とにかく、そのことが気がかりだったので。

ってことで取り調べ

気弱そうな捜査官がドアーと反対側の席に「座ってください」と言うが断る。最初に私を調べた女は、逃がしはしないわよって感じでこっちをみてる。
そんな中で、クッキー缶の封は切られた。そして中身を取り出して一言、
「あ〜、こうなってたんですね〜」と言った。
出てきたのは、透明の袋に入った分厚いチョコレートクッキー。わかったかぁ、ば〜ろ〜め。
すると、検察官はバツが悪そうに「開けた所をテープで貼りましょうか?」と言う。
「結構ですっ!!」
今更、封を開けられたクッキー缶、汚くテープで貼られたところで、人にあげられるわけないじゃん。

検査官たちは「すみませんでしたね〜」とそそくさと散らかした荷物をバックに戻す。
私も、彼らが仕事なので仕方がないって云うのはわかるが、だからと言って、嫌な思いをしているのでそんなに簡単に三角目がもどるわけがない。
自分でも態度が悪いだろうなと思い、
「皆さんもお仕事なので仕方がないとは思いますが、不愉快な思いをしたので、そんなに簡単に穏やかに接する事ができないのはお許しくださいね」というと、
「そうなんですよぉ〜、我々も仕事なんでねぇ。へっへっへ」となぁなぁ的な表情で言ってきたのでムカつき、きっと知らない間に睨んでしまったに違いない。
「すみませんでした」と言って、できるだけ早く私にお引取り願う為に、猛スピードで荷物をバックに戻した。
最初に調べた女の検察官も、チラッと彼女の方を見たときに謝ってくれはしたのだが…。

実はこのときのかなりひどいダメージを受けていたらしい。
といっても、事の最中は、みんなを待たせてるので早く行かなくちゃって事に気が向いていたので気づかなかったみたいなのだが、家に帰って一息入れたら、ものすごい鬱になってしまった。

自分が悪い事してないのに気にする事ないじゃん、とか、そんなのもわかるし、相手も仕事なんだから仕方がないじゃんっていうのもわかる、とにかく頭で納得しそうな言葉はちゃんとわかってるんだけど、
自分が受けた事に対する嫌な気持ちや、腹立たしさは、行き場がなく、消えてくれないんだよね。

それでも、クッキー缶じゃなく、ぬいぐるみの方をかち割られていたら、もっと泣くに泣けなかっただろうな。
きっと、時間が経てば、こんなこともネタにできるだろう。

そんなふうに自分を励ましたけど…

でも、ホント、とにかく命はちゃんとあるし、どうにかこうにか無事に帰ってきたんだから、これでよしとしよう。かぁ〜 かぁ〜
楽しかったしね。かぁ〜 かぁ〜

ってことで、無事帰国!ただいま〜♪

 

 
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