Cine-Para
映画の話

見た映画の感想です。

2012/05/13

三文役者




昨日は、新藤兼人百年の軌跡というイベントの上映会で三文役者を見てきました。


上映会前には俳優の六平直政のトークショー。これが決まりきったお行儀が良い話しではなかったので、面白かったですね。


その後、映画上映です。
以前、成り行きで映画のWEBRINGを運営していたんですが、映画を見に行くのは実に3年ぶり。勘が鈍っていたらごめんなさい。


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◆三文役者

評価金額: 1350円

主演:竹中直人 荻野目慶子 吉田日出子
監督:新藤兼人


自らを三文役者と称する俳優タイちゃん(殿山 泰司)が、口説き落とし(落され?)た若いウエイトレスのお姉さんと、本妻と、役者人生の話。


実在した人物なので、竹中直人を見るというより、竹中直人が演じた殿山泰司を見ることになります。
+当時36歳の荻野目慶子が17歳のウブそうなウェイトレス キミエとしてでてくること
+彼女の高音の声の聞き取り難さで、最初は頭がくらくらします。


が、慣れてくるんですよね。いつの間にか。


タイちゃんは36歳の売れない役者の時に喫茶店のウエイトレスのキミエに惚れて猛アタック。
で、ビール飲ませて、混ぜもんしたよとか言って気絶させてしまうんですがね、
実は、キミエは前々からタイちゃんの事が好きだったので気絶したフリをしたと言うじゃありませんか。で、エッチして、恋中になって…っていう、若いくせになかなかしたたかな女なのです。
このしたたかぶりが、荻野目慶子に良く合うのです。
後のエキセントリックぶりも、彼女の演技力に裏付けされた大胆な演じっぷりで見ると、全然嫌じゃない。むしろ楽しい。


それがね、撮影ができない日には、雨の日に傘さして流木を集めて、湿気て火がつかないのに薪をしたり、魚が釣れない水辺でひたすら釣りをするような新藤監督が淡々と撮ると、最初はなんか違和感を感じつつも、いつの間にか気にならなくなって、最後にはほろっと来る。良くできた映画だと思います。


組み合わせが良いんですよ。エキセントリックな荻野目慶子という愛人と芯が強く淡々とした本妻吉田日出子。
真面目なようでしたたかで。めちゃくちゃのようで筋は通っていて。
個性的な人物像を扱うけれど、淡々と描く。
華やかな世界と、日常。
その中で流されているのか、流れているのかわからないように生きるタイちゃん。


どぎつすぎたり、逆に物足りなさを感じたり、最初は違和感を感じていても、全部合わせるとこれで良い。


ラストシーンは、本当にほろっとさせられます。
いつの間にか引きずり込まれていたんでしょうね。
タイちゃんという人を描き続けた映画なのに、全部を見てやっと初めて、タイちゃんという人が浮かび上がってくるような、そんな映画でした。
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